Poetry collection
花〜花へ
花をあげよう
きみにもあげよう
きっと今日が、たのしくなれるから
花をあげよう
あなたにもあげよう
きっと今日は、元気になれるから
花をあげよう
みんなにあげよう
世界が、手と手を繋ぐように
花をもらおう
あなたからもらおう
きっと今日は、あなたをゆるせるから
花をもらおう
きみからもらおう
きっと今日は、きみをすきになれるから
花をもらおう
みんなからもらおう
世界が、花でいっぱいになるまで
やさしい音
遠い昔から人形は、われわれを見守っていた。
人は、物を好んだ。
きれいな物、べんりな物、たのしい物、おいし物‥‥
人は、物を得るために、もがき苦しんでいた。
人形は、それを、なげき悲しんだ。
人形は、自らの胸の中にある、
鼓動を人々に平等に分け与えた。
人形は、微笑みのまま、動く事をやめた。
それは、人形にとって、愛であった。
それは、人にとっては、死であった。
人形は、人の手に渡り。
鼓動は、人々に宿した。
ボクは、ときどき、静かな部屋で、
手のひらを、そっと胸に当てる。
遠い昔の、鼓動が、手のひらにつたわり、
それは、やがて、やさしい音になる。
人形の笑顔が、自分の笑顔になって行くのを感じた。
一つの心
人は、いろんな物を吐いている。
人は、憎しみを吐いて、
人は死んで行く。
花は、それを癒してくれる。
人は、悲しみを吐いて、
人は病んでいく。
森はそれを見守ってくれる。
人は、欲望を吐いて、
人は傷ついていく。
雲はそれを忘れさせてくれる。
人は、絶望を吐いて、
人は失って行く。
太陽はそれを照らしてくれる。
人は、いろんな物を吐く。
自然はいろんな物を吸い取る。
それは、流れる川のように
やがて、海に届き、
それは、長い年月で
一つの心となって行く。
は ね
わすれてしまった羽はどこにあるの?
遠い記憶の青い空を……
わすれてしまった羽はどこに行ったの?
どこまでも広がる青い空を……
見つけようとしているの?
見つけられないでいるの?
遠ざかって行く青い空を……
きみはもう羽ばたいているの?
きみの青い空に……
きみはもう見つけられたの?
ポケットの中のわすれた羽を……
笑 顔
笑顔をあげよう
みんなにあげよう
世界にあげよう
きみの笑顔が
みんなの笑顔が
世界の笑顔に
なっていくから
く も
雲は、
きまぐれな風に
いつも追いかけられて
たまに涙する。
雲は、
真っ白で純粋
でもたまに
真っ黒になって
雷ってる。
雲は、
おもしろくて繊細
いろんな型や色を
笑顔を創造する。
ぼくは、雲が好きだ。
きみは、いつも
ぼくを、あきさせない
ぼくは、雲が好きなんだ。
01「ぼくの朝の夢」より
ぼくは夢を見た。
夢を見つめた。
昨日の夢は「せをむけていた」
それでも世界は回っていた。
こうかいとともに…
今日の夢は「ほほに傷を負っていた」
でも赤いバラは散らずにいた。
かなわぬ夢もかなう夢も
未来の夢は「真っ白だった」
そして流れていた。
だからぼくは自由になれと叫んだ。
だからぼくは自由になれと叫でいたんだ。
02「ぼくの朝の夢」より
ぼくは夢を見た
昨日の夢は
「耳をふさいでいた」
聞こえないふりをしていた。
自分がこわかった
今日の夢は
「叫んでいた」
言いわけばかりしていた。
自分がきらいだった
未来の夢は
「見上げていた」
流れる雲がきれいだった。
いつのまにか歩き出していた
03「ぼくの朝の夢」より
だからぼくは夢をみた
だから
夢をみた
それは、すきとおるような
永遠がつづいていた。
だから
夢をみた
それは、ひだまりのような
永遠がつづいていた。
だから
夢をみる
ありえない、永遠だけど
ぼくは夢をみる
きみの約束が
きみの優しさが
きみとの未来の永遠を
04「ぼくの朝の夢」より
ぼくは夢をみている
夢をみた
ぼくはきれいな星をみていた
そこは、静寂と無限の時間が流れていた。
彼女がぼくに言った。
「また観に来ようね」
夢をみた
ぼくはソファーに座ってた
そこは、ここちのよいゆるやかな時間が流れていた。
彼女がぼくに言った。
「紅茶にしますか」
夢をみた
ぼくは君の笑顔を見ていた
そこは、楽しくてせつなくて時間が早く流れていた。
彼女がぼくに言った。
「もっと笑って」
夢をみてた
ぼくは手をにぎっていた、
とてもあたたかだった。
真っ白な部屋で、真っ白なカーテンが
風にゆらいでいた。
彼女の瞳は、潤んでいた。
ぼくがそばにいるのに
「笑って」と
ぼくは、つぶやいた。
ボクはいじめられっこ
ボクは、いじめられる
なぐられる
ボクは、気が弱い
パンを買いに行く
ボクには、勇気がない
でも、ボクは知っている
イジメル人のことを
自分が不幸だと思いこんでいる
ただそれだけなのに
それに、気づいていないだけなのに
ボクは、幸せなのだから?
人にやさしくできるのさ!!
だから君も、幸せになりなよ!!
ボクと同じ幸せをあじわってみなよ!
そしたら、みんな人は、人をゆるせるし
人は人にやさしくなれるんだよ。
こんな楽しいことは、ないんだよ。
と、ボクは頭の中で全世界の人達に伝えた。
ガタッ ギューー!
キー、キー、キー、キー、キー、キー………
操り人形
朝、目が、さめる。
今日も、変わる私がいる。
鏡の前の私。
動きたくない、私。
鏡の奥で笑ってる、私。
鏡の前でムッとしている、私。
人形に変わる、私。
鏡の奥の本当の、私。
人形は、動き出す。
人の波にもまれて、
社会の風にさらされて、
人形は、操られる。
人形の糸は、いつも張りつめている。
きれてしまいそうな、人形。
何本もきれてしまった、人形。
糸を結ぼうとしている、人形。
糸は、自由をうばい。
糸は、生きる場を与えてくれる。
人は、糸がなくては、
動くことすらできないでいる。
人の型
怒りが入る
悲しみが入る
笑いが入る
希望が入る
絶望が入る
約束が入る
野望が入る
絆が入る
好奇心が入る
愛が入る
感動が入る
夢が入る
未来が入る
人の形に、入れる物
ひとつ賭けても、
世界はつまらない物になってしまう。
人形の夢
人形は、いいなりだった。
いつも抱きしめられていた。
人形は、たえていた。
笑顔しかつくれなかった。
人形は、だまっていた。
唇を開けることが出来なかった。
人形は、きずだらけだった。
自分で立つことが出来なかった。
人形は、捨てられた。
人形は、自分の力で歩きたかった。
人形は、だれかと話したかった。
そして、人形は、気づいた。
形に捕らわれていた自分に、
人形の夢は、あたりまえの人に生ることだと。
人 形
人形は、訪ねた。
おまえは、真実をかたっているのか?
おまえは、幸せなのか?
ぼくは、黙っていた。
人形は、歩き出した。
階段を雲の上に向かって。
人形は、笑みをうかべてぼくを見つめた。
人形は、自らの手で、
自らの腕を、引きちぎった。
ちぎり取った体からは、
白い血が滴り落ちていた。
唖然としたぼくに、
人形は、それを、手渡した。
ぼくは、それを受け取り
当然の如く、自分の腕とした。
ぼくは、人形に言った。
ぼくは、嘘つきであると。
その瞬間、
ぼくの手には、ナイフがにぎられていた。
ぼくは、血に、まみれていた。
幸せは、記憶にすらなかった。
紅とモノクロームの泡沫な世界に
白い雪は、意味もなく空から落ちていた。